谷 好通コラム

2005年07月04日(月曜日)

1205.Aston Martin Preview

三日前の話に戻る。
この日、昼から、
「アストンマーチン、V8バンテージ」のプレビューを見に行く事になっていた。

 

たまたま手に入ったプレビューの招待券二人分があったので、
息子を誘って、行く事にしていたのだ。
世界のトップレベルのプレミアムブランド「アストンマーチン」の
新型車のプレビューが、
どんなものであるか非常に興味があったし、すごい勉強になると思った。

 

 

場所は「有明スタジオ」
東京のビックサイトの近くある大型のスタジオで、少し分りにくい所だ。
100坪ぐらいある広さでガランとしている。
(スタジオなのだから当然であるが)

 

招待客は50名ほど。
入り口から入ったこちら側が客がいる場所。
背の高いスタンドの机がいくつも置いてあって、立食パーティー風だ。
だから椅子は一つも置いてない。

 

向こう半分が何となくステージになっていて、
今日の主役「V8バンテージ」が、黒いシルクの布を掛けられて置いてあり、
左脇には高さ5mぐらいのモノリス風のオブジェがそそり立っている。
マットのブラックの地に、白く細い浮き文字でAston Martinとある。かっこいい。
中は暗く、
壁はほぼすべて白の布が張り巡らされていて、
それをスクリーンにブルーの光がきれいなグラデーションを描く。

 

くどくどと情景を描いているが、
このプレビュー、会場は一切の撮影が禁止されていたのだ。
集まった人たちは見るからにお金持ち風、
撮影の禁止は、招待客のプライバシーを守る意味なのだろう。

 

会場の設営は非常にシンプルで、しかもセンスがいい。
さすがだと感心させられた。

 

設営費は、ざっと見て200万円と言ったところか。
会場費込みである。

 

会場費が一日50万円?
会場内に張り巡らせた大きな白い布、20万円?
たぶん回し使いのモノリス風オブジェが、30万円?
照明、映像、音響機器などのリースが、1日30万円?
技術スタッフが、3名で前準備込みで20万円?
会場での飲み物、食事などが一式で20万円?
招待状の発送、接客のコンパニオン、その他雑費で30万円?

 

ざっと計200万円。
厳かな雰囲気の会場で、つい値踏みをしてしまうのは商売人の性(さが)である。

 

招待客がぞろぞろと集まってきて、
コンパニオンが飲み物を配り始める。
オレンジジュースと、シャンパンと、アイスコーヒーなど。
つまみ?に、小さなサンドイッチみたいなものも配られる。
と言っても、「これはフォアグラの何とかかんとかです。」と、えらく上等な物みたいだ。
北斗がうまいうまいといくつでも手を出す。
私も欲しいところだが、周りを見ると、みんなお上品に一つだけもらっているので、
カッコをつけて、ガマンして、一つだけもらった。

 

やがて、正面のスクリーンにアストンマーチンのプロモーションビデオが流れ始め、
プレビューのスタートである。
最初に出てきたのが、何とかアストンマーチンの社長。
英国人である。
むちゃくちゃカッコいい黒の背広を着て、ステージに登場。英語でスピーチを始める。
スクリーンに日本語に訳したものが映し出される。

 

アストンマーチンの歴史が語られる。
アストンといえば「007 ジェームズボンド」の愛車である。
007の映画の場面がたくさん映し出されて、面白かった。
15分ほどの出番が終わったら、
今度はAston Martinジャパンの社長の登場だ。
若い! そしてハンサムだ。
先程の何とか言う社長もそうだったが、
登場する時の歩き方が、モデルが歩くように実にカッコいい。
相当にトレーニングを積んだ歩き方だ。

 

Aston Martinジャパンの社長は、?8バンテージの説明。
「エンジンは?8であって・・・・、なんとかかんとか・・・」
映像と共に、延々と30分ぐらい話続ける。
よく、あれだけのセリフを覚えたものだと感心していたら、
彼の前に薄型の平面ディスプレイがあって、そこにセリフが映し出されていたのだろう。

 

それにしても、カッコいいのだ。

 

それが終わったら、先程の社長が登場して、
まだかなり時間喋って、
その内に二人の社長が一緒になって、交代で喋って、
スピーチのクライマックス。
最後に二人の社長が、車に掛けてある黒い布を一緒に取り去り、
「さぁ、皆さんこちらに来て、ご覧下さい。」となった。

 

広い場所で見る?8バンテージはずいぶん小さく見えた。
みんなゾロゾロと車の近くに行って、車を見る。

 

もう始まってから1時間以上経っていて、
私の足は棒になっていたし、お上品なおつまみでは腹が減ってしょうがない。
車を10分ほど見て、
「そろそろ行こうか」と、息子を誘って外に出る。

 

出る時に、入り口の脇で食事の用意をしていたので、
「あっ、飯が出るのか」と
出るのをちょっとためらったが、立ったままの食事は私には無理だと思って、
そのまま出てきてしまった。

 

多分、そこからアストンマーチンの営業マンと、
立ったままランチを食べながら、車を買う商談が始まったのであろう。
だから、プレビューのプレゼンテーションを見ただけで帰ってきてしまうのは、
営業からすれば、とんでもない客であったのかもしれないが、
いずれにしても、立ったままはとても耐えられない。

 

アストンマーチンのプレビューから学んだこと。

 

?プレビューの設営は、非常にシンプルかつ簡単なもので充分にムードは出せる。
?つまり、グレード感とは“豪華”である必要は無く、安価な設営でも、センスで勝負なのだ。
(外国企業は合理的というか、意外なほどケチなのである。)
?ショーはいらない。こんなときこそ社長のプレゼンテーション能力を発揮する時。
?外国の会社の社長は、とにかくカッコよくなければならない。
(私などのように、いかにもオッサンでは無理なのだ。)
?そして、エンターテイメント性をも持っていなければならない。

 

私は、日本の会社の社長でよかった、とつくづく思った。
これが、アストンマーチンのプレビューを見た結果である。

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    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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