谷 好通コラム

2015年01月26日(月曜日)

01.25.造った者が自慢できる500系と、乗客が好きなN700系

一昨日、久しぶりに山陽新幹線の「こだま」に乗りましたが、
列車は、新幹線史上もっとも美しい「500系」でした。
この500系は、新幹線の高速化300km時代の先駆けとして、
世界一スピードの出る車両として華々しくデビューしました。
車体そのものが弾丸のように、その断面積は「円」で、
構造上最も強く、空気抵抗も少ない、”超”スマートな超特急です。

 

これはJR西日本が作った車両で、
トンネルが非常に多い山陽新幹線を意識し、
空気の圧力変化が大きいトンネルで、丈夫な円形断面を採用しました。
最高速も320kmを平常運転で出します。

 

 

その後、
JR東海が500系を出した時、
700系の最高速が500系に比べて20~30kmほど遅かったので、
500系を造ったJR西日本は、
「こんなに最高速の違う遅い列車とは、
同じダイヤで、一緒に走ることは出来ない。困ったものだ。」と、
自らが作った列車のスピード的優位性を誇り、遅い700系を卑下しました。
(という記事を、昔、新聞で読みました。)
500系こそ、超特急という呼び名がふさわしい列車でした。

 

それに比べて、
700系は断面積が「四角」で、
先頭車両は「カモノハシ」に似た決して流麗とは言いがたい形です。
それでも、これは流体力学的に理にかなった形状であるのだそうです。
そしてそのあとに、
N700系が700系の改良版として出て、
これは今のJR全体の主流になっています。

 

N700系の一番の特徴は「乗り心地の良さ」です。
700系同様の「四角」の断面は、車空間を広くしています。
そして、なによりも、
N700系は「シート」が断然いいのです、
シートのリクライニングの仕方が、素晴らしくいいのです。
700系からN700系に変わってこの点は特にすごく変わりました。
今やN700系は、JR東海のみならず、
JR西日本、JR東日本でも主流になっています。
N700系は大成功した車両であると言っても間違いありません。

 

私が新幹線に乗る時、少し時間に余裕があると思った時には、
わざわざ「ひかり」に乗って、
列車の旅を楽しむことがありました。
しかし「のぞみ」がN700系になって、
「ひかり」が残りの700系で走るようになってから、
この習慣をやめました。
N700系に乗った方が乗り心地が良いからです。

 

さて、
最速、かつ流麗な500系はどうしたのでしょう。
500系はどんどん少なくなって、東海道新幹線にはもう走っていません。
山陽新幹線の「こだま」としてごく少数だけまだ走っています。
私は詳しいことも本当のことも知りませんが、
極めて多く新幹線に乗る乗客の一人としては、
500系は「乗り心地が悪かった。」に尽きます。

 

500系は、速度、強度などハードとしての性能は素晴らしく、
丸い断面の弾丸のような形の列車は流麗そのものであり、
素晴らしくかっこいい列車です。
しかし乗客としては、丸い断面が圧迫感を覚え、
何しろあの振動は、鋭角的で強く、
シートも、どちらかと言えばスポーツカー的で、
決して良い乗り心地ではありませんでした。

 

対して、N700系は、
強度的には丸型に劣る四角の断面ですが、
そこは設計でカバーし、四角い断面で得られる広い空間を造りだしています。
その上で、振動の少ない足回りと、
何と言っても座り心地のいいシートが好きです。

 

私は500系とN700系の関係も、それぞれの評価や貢献も何も知らず、
一人の乗客としての知識しかないまま、
想像だけで書いているので、とんでもない勘違いかも知れません。

 

500系は「列車」としてはいい列車なのかもしれません。
その性能といい、デザインといい、「列車」として素晴らしいと思います。

 

でも客席は円筒形になって、少し手狭です。

 

 

外から見るとほれほれするのですが。

 

 

しかし、一乗客としては、
500系が第一線から退いて、
N700系が増えていることを歓迎します。
「乗り心地がいいから」
とすると、N700系は「列車」である前に「人が乗る乗り物」であり、
それを評価するのは、
列車を造った人でもなく、列車マニアでもない、
ほかならぬ『乗客』であることを、思うのです。
造った者が自慢できる500系と、乗客が好きなN700系。

 

我々、商品を作り出す立場の人間として、
このことは、学ぶべき教訓であると思いました。

 

キーパーコーティングは、
キーパープロショップは、
キーパーLABOは、
他でもなく、「お客様」に評価していただいた結果、
支持していただき、広まることが出来ているのだということを、
決して忘れてはいけませんね。

 

こんなことを書きながら、東北新幹線に乗っています。
東京駅の東北新幹線のホームでは、
最新のE2型とかなんとかいう列車で「はやぶさ」と「こまち」で、
ドッキングしています。この列車も良い乗り心地で好きです。

 

 

今朝、出てくる時の富士山です。

 

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    代表取締役会長兼CEO

    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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