谷 好通コラム

2024年01月20日(土曜日)

01.20.優しくなれない者は、実は、弱い者なのかもしれない。

私は高校では柔道部に入っていました。片足が少し不自由だったが、それを自分の弱点とは思っていなかったので、ただカッコイイと思って柔道部に入ったのです。それでも、私は体が大きい方だったから結構強くて高校二年になった時には黒帯 (初段)まで取り、強くもないのに、いい気になっていました。

ある時の部活中、自分より明らかに強い部員○○と乱取り(実戦練習)中に、「大外刈り」をかけられた時、相手の体重がいっぺんに自分にかかって鎖骨が折れてしまったことがあります。その時はものすごい激痛で大変だったのですが、冷やしていればそれほど痛くなかったので、骨が折れているとは思わず、部活が終わって腹が減ったので校門の横の菓子屋でパンを食べていました。そうしたら、校内放送のスピーカーから「谷君、すぐに職員室の△△の所に来なさい。」と柔道部顧問の△△先生が私を呼び出している。しぶしぶ行ったら、「すぐに病院に行こう。」と、顧問先生に外科に連れて行かれレントゲンを取ったら鎖骨が折れていた。パンなど食っている場合ではなかったのです。当たり前だが、その夜から熱が出て布団で寝ている生活がニ日続いた。

その間に、私の鎖骨を折った私より明らかに強い○○が見舞いに来て、私と両親に頭を下げ「申し訳ありませんでした。」と謝って行きました。

 

それから何か月後、今度は私が、体が小さい一年生を相手に乱取りをしている時、その一年生の子の鎖骨を大外刈りで折ってしまったのです。しかしその時私は、「お互い承知の上で柔道の練習をしていて、たまたま成り行きで相手が怪我をしてしまったのだから、別に俺は悪くない・・」と、私はその一年生の子の家に見舞いに(謝りに)行かなかったのです。それが何故か自分の心の中に引っかかっていて、50年以上たった今でもその子の顔を思い出します。

今、思うと、あの時、私は弱かったのでしょう。弱いから相手を傷つけても、自分を正当化して、自分をかばい、相手の身を考えもせず、自分は悪くないと「見舞い」にも行かず謝りもしなかったのでしょう。「弱い者は人に優しくなれない」とは何かに書いてありましたが、本当にそうだなと思うのです。私の苦い青春の思い出です。

 

Wikipediaより「大外刈り」の絵。

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    谷 好通

    キーパーのルーツであり、父であり 男であり、少年でもある谷好通の大作、名作、迷作コラム。
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